コラム

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教育資金贈与信託

 

 

平成25年4月1日より、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が始まりました。

 

<現行制度との違い>

改正前

平成25年度改正

入学金・授業料等の教育資金をまとめて贈与する場合は課税(贈与税) 平成25年4月1日~平成27年12月31日までに拠出し、銀行等の金融機関に預金の預け入れ、または信託した場合には受贈者1人につき、1,500万円を限度として非課税
教育資金にあてるために支払う金額を、支払いの都度、贈与する場合は非課税

 

以下は、昨日掲載されていた日経新聞の記事です。

とても分かりやすくまとまった資料なので掲載いたします。

 

教育費贈与 信託の活用法

使い勝手や最低金額に差

(2013.4.24 日経電子版)

 

孫の将来にわたる教育資金として、まとまったお金を非課税で一括贈与できる制度が4月1日に始まった。信託銀行を筆頭に金融機関は専用の商品を作り、贈与資金の取り込みに力を入れている。祖父母にとっては非課税贈与で相続税を節約するだけでなく、教育資金という有意義な形でお金を孫に残せるメリットがある。この制度は2015年末までの措置。贈与額の目安や専用商品の仕組みを確認しておこう。

 

東京都在住の福山章さん(仮名、80)は孫5人にそれぞれ1000万円の教育資金を一括贈与することを決めた。オーナー経営者として成功した福山さんの資産は預貯金だけで約2億円。15年から課税が強化される相続税の節税は大きな関心事だ。「子孫には財産よりも教育を残したい」と考え、預貯金から5000万円を充てた。

 

この制度は孫などお金のもらい手1人当たり最大1500万円まで非課税で贈与できる。このため孫の教育資金を援助しつつ、課税される相続財産を減らしたい人が強い関心を寄せているという。

 

教育費用いくらかかる? 教育資金贈与信託、当てはまれば検討も

 

使い切りで非課税

ただ、完全に非課税となるのは孫が贈与されたお金を学校や習い事などの費用として30歳までに使い切った場合だ。使い残しがあれば30歳になった時点で課税されるので、孫の年齢や進学志望に応じて必要な教育費用をざっと把握しておきたい。

 

文部科学省の調査では、幼稚園から高校まで私立に通うと入学金や授業料などの「学校教育費」は約1110万円かかる。学習塾やスイミングスクールといった習い事に支出する資金も500万円までなら非課税になるため、孫が私学中心に教育を受ける場合は1500万円の上限まで使い切れる可能性がある。私立大学の医学部に進むなら、それだけで上限を超える。幼稚園から高校まで公立にすれば学校教育費は約180万円にとどまる見通しだ。

 

いくら孫のためとはいえ、教育資金の贈与で自分の老後の生活設計に影響が出てしまっては本末転倒だ。税理士の天野隆氏は「最低でも平均余命までの生活費のほかに、介護付き老人ホームの終身利用権を取得できる資金を残しておくべきだ」と助言する。複数の孫に贈与する場合、節税効果ばかりを考え、年齢や在籍する学校によって金額に大きな差をつけると、相続時に孫の親同士が争う原因になりかねない。

 

払い出し機能追加

こうした基本を押さえたうえで三井住友信託、三菱UFJ信託、みずほ信託の各行と、りそな銀行の計4行が扱う専用商品「教育資金贈与信託」を見てみよう。いずれも元本保証がある既存の金銭信託商品をベースに、孫や保護者からの求めに応じて教育資金を払い出す機能を付けたのが特徴だ。

 

注意したいのは教育資金贈与の口座はもらい手1人につき1つしか開設できず、変更もできないこと。払い出し手続きなどの使い勝手も吟味しておきたい。

 

まず4行のうち三菱UFJ信託だけは教育費用として使ったことを証明する領収書がなくてもお金を払い出すことができる。領収書は後日提出すればよいので、学校などに納付するお金をいったん立て替える負担がなくなるのが大きなメリットだ。ただし翌年3月15日の期日までに領収書を提出しないと、非課税措置は受けられない。

 

ほかの3行は原則、領収書と引き換えにお金を払い出すが、非課税措置を受けるには領収書発行日から1年以内に手続きをする必要がある。

各行とも教育資金贈与信託を足がかりに取引顧客を増やしたいと考えており、事務手数料を無料にしている。三井住友信託は店舗窓口で払い出す場合は1回につき最大2100円の手数料がかかるが、9月末までに口座開設を申し込めば契約終了まで無料だ。りそな銀行は郵送で手続きできず、店舗窓口だけでお金を払い出す方式のため、孫が住む地域に店舗があることを確かめたい。

 

教育資金贈与の専用商品は都市銀行や地方銀行、証券会社も扱える。今後、普通預金に教育資金の払い出し機能を付けた商品などが出てくる見通しだ。

 

主な「教育資金贈与信託」の特徴

 

もっとも、祖父母が孫の教育資金として必要になったお金をその都度贈与する場合はこれまでも非課税だ。もらい手1人当たり年間110万円までは基礎控除もあり、課税されない。このため一括贈与については「死期が近いと感じて相続財産を急いで減らしたい場合を除くと、実質的なメリットを受ける人は少ないのではないか」(税理士の福留正明氏)との見方も出ている。

 

専用商品を扱う4行のうち三井住友信託、みずほ信託、りそなの3行は最低5000円から、三菱UFJ信託は同10万円から利用できる。相続税の節税効果などの実利にこだわらず、少額であっても孫への愛情の証しとして教育資金贈与信託を利用するニーズもありそうだ。

 

(表悟志)

 

 

以上のような内容でした。

平成27年12月31日までと期限のある制度のため、利用にあたっては様々な注意点を踏まえながらも、検討は早めに行った方が良いでしょう。

 

 

平成25年4月25日

司法書士 尹 炳泰

 

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