コラム

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治療限度も自分の希望を

 

 日経新聞電子版を見ていると、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長の川嶋朗先生の興味深いお話が掲載されていました。

 

 川嶋先生は、3月に「医師が教える幸福な死に方」(角川SSC新書)という本を出されたそうで、ラジオNIKKEIのインタビューに答えておられるのですが、日本人は必ずしも「健康で、長寿」というわけではないことや、何でも医師任せにすることが医療費の増加につながっていることなどに触れられています。日本人は必ずしも「健康で、長寿」でないことは、以前コラム「健康寿命」(コチラ)でも書いていますが、100歳以上の寝たきりの人は、アメリカでは35%なのに対し、日本では65%になることは、さすがに驚きました。

 

 さらに興味を引いたのが、先述の川嶋先生の著書の巻末に「医療措置意思確認表」というものが付けられていることです。平たくいうと、自身が延命治療をどこまで受けたいかどうかのチェックリストのようで、例えば、呼吸の延命措置として「気管内挿管」「酸素吸入」「気管切開」「人工呼吸器」と並んでいるところにチェックができるような表だということです。

 

 実は、上記と似たような希望を残しておく方法に「尊厳死宣言公正証書」(コチラ)があります。この公正証書を残しておくことで、将来過度な延命措置をしないで欲しいということを伝えることはできますが、実際具体的にどこまでの治療なら良いのかが書かれていないため、結局医師の判断や、親族の判断に任される部分が出てくることも多くなるのです。

 

 最近では「臓器提供意思カード」の所持率も上がっているそうですが、良いのかダメなのか、どこまでなのかなど、普段から考えて、家族に伝えておいたり残しておいたりすることの必要性を、再認識させられる記事でした。

 

「幸せに死にたいなら、医者頼みやめよう」2012年8月17日付 日経電子版より

 

 

平成24年9月19日

司法書士 李

 

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