よくあるご質問

弊社にお寄せいただくご相談の中で、よくあるご相談を記載します。

1.センターに関するもの

2.相続手続に関するもの

4.相続放棄に関するもの

5.遺言に関するもの

6.税金に関するもの

7.その他

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1.センターに関するもの

Q.1-1 何から手をつけてよいのか全く見当がつかないのですが・・・

A.相続に関する手続きは、大小あわせて約90種類の手続きがあります。預金の名義書換といった一般的な相続手続から、不動産の相続登記、相続税の申告といった専門的な相続手続まで、様々な手続きがありますが、財産の内容や相続人の状況によって、必要な手続は異なってきます。無料相談を受けていただければ専門家が「いつまでに、何の手続きを、どこに対して、どのようにおこなえばよいか」をトータルでアドバイスさせていただきますのでご安心ください。

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Q.1-2 遺産整理業務とは何ですか?

A.相続が開始するとそのときから、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を包括的に相続人が継承します。被相続人の遺言がない場合、相続人全員の協議で相続財産の分割を行います。しかし、昨今の核家族化や高齢単身世帯の増加に伴い、相続が発生した場合に、遺産がどこでどのように管理されていたのか分からず財産の把握が難しいケースや、遠く離れたところに居住する相続人が遺産の名義変更などを行うために大変な労力を要するというケースが増えてきました。
遺産整理業務とは、相続に伴う様々な問題について、遺産の調査整理などの相続財産の実態把握から始まり、遺産分割の手続きや名義変更、各相続人への分配の手続きなどを、手続きに不慣れな方や、時間に余裕のない方に代わって手続きを行う業務です。相続に関する一般的な手続から専門的な手続まで、当センターがワンストップでサポートいたします。
遺産整理業務の内容

  • 遺産調査、財産目録の作成
  • 高額医療費、葬祭費の請求手続など、葬祭後の事務手続きのサポート
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金・株式の名義変更、払戻し請求
  • 生命保険その他金融資産の請求手続のサポート
  • 相続税の申告、相続税納税等に係る資金計画の提案、確定申告
  • 不動産の有効利用や売却・買換えなどのお手伝い
  • >詳しくはこちら

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Q.1-3 相談や見積りは無料ですか?

A.ご相談は、お電話(フリーダイヤル)・メール・ご面談にて無料で受け付けております。
当センターはタイムチャージをいただいておりませんので、安心してご相談ください。
ご希望に応じて無料にてお見積りを作成いたします。
ご納得いただいた上でご依頼いただき、お手続きを進めさせていただく流れとなっております。
当センターは司法書士・税理士をはじめとする専門家がご対応いたしますので、相続に関する問題に限らず、遺言、成年後見、税金関係、事業承継の問題なども、お気軽にご相談ください。

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Q.1-4 相談の受付時間を教えてください。

A.お電話でのご相談は平日9:00~18:00とさせていただいております。
また、ご来所が困難な場合にはこちらからお伺いすることも可能ですので、ご相談ください。

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Q.1-5 相談するにあたって、どんな資料を用意すれば良いでしょうか?

A.ご相談内容によって異なりますが、下記資料をご準備いただきますとスムーズにご相談いただけます。

  • ・お亡くなりになられた方の親族関係が分かるもの
  • →戸籍謄本や親族関係をメモしたものなど
  • ・相続財産がわかるもの
  • →不動産の場合:登記簿謄本、固定資産納税通知書など
  • →預貯金の場合:通帳、残高証明書など
  • →その他有価証券、動産などの種類・価額などがわかるもの
  • ・遺言書の有無

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Q.1-6 大阪にある実家の父が亡くなり、相続手続きをしたいと考えています。私(相談者)は現在、埼玉に住んでおり、他の相続人となる兄弟たちは大阪・京都と別々のところに住んでいます。なかなか遠方に出向くことができないため、なるべく手間を省きたいのですが・・・。

A.当センターでは、戸籍謄本等の収集、財産の調査・財産目録の作成、遺産分割協議書の作成、相続放棄手続き、不動産・預貯金・株式などの名義変更や換金処分、相続税の申告手続きなど様々なお手続きをお手伝いいたします。東京・大阪・神戸の各事務局が連携して業務を行っており、ご相談者様のように相続財産が大阪にある場合や、他の相続人様が遠方にいらっしゃる場合でも大丈夫です。お忙しく不慣れなご遺族のために、豊富な経験と知識を有する専門家が手続きを代行いたしますので、ご安心してお任せください。

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2.相続手続に関するもの

Q.2-1 相続手続に必要な戸籍は?

A.相続手続に必要な戸籍は、亡くなった方(被相続人)と相続人で必要な範囲が異なります。
被相続人の場合、出生から死亡までの連続した全ての戸籍が必要となります。これは、結婚・再婚、認知、養子縁組などを確認し、相続人が誰なのかを確定するためです。相続人については、現在の戸籍謄(抄)本が必要となりますが、被相続人が亡くなった後の日付のものが必要です。
なお、古い年代の戸籍は役所の保存期間経過により破棄されている場合や、戦災・自然災害などにより滅失しているという理由で、取得できないこともあります。
被相続人の戸籍が全て取得できたかわからない、転籍をしているようだがどこに戸籍を請求したらいいのかわからない、忙しくてなかなか手続ができないなど、戸籍取得でお困りの場合はお気軽に当センターにお問合せください。

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Q.2-2 相続人の中に行方不明の人がいる場合の手続きについて知りたいのですが。

  • A.相続人のうち、行方不明の人がいる場合、下記の手続きをとることによって遺産分割協議をすることができます。
  • 1.不在者財産管理人選任の申し出
  • 不在者財産管理人とは、その名のとおり、行方不明の方の財産を管理、保存することを役割とする人のことです。配偶者、相続人などの利害関係人は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を請求することができます。
    そして、家庭裁判所で選任された不在者財産管理人が、家庭裁判所の許可を得て、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加して手続きを進めることになります。
    ただし、一般的にその内容は、不在者にとって不利益とならないようにする必要があります。協議の結果、不在者が取得することになった財産は、不在者が現れるまで、この管理人が管理することになります。
  • 2.失踪宣告の制度を利用
  • 相続開始の原因は、人の死亡によって相続が開始されるのが一般です。
    失踪宣告とは、法律関係の確定のため、生死不明者について一定の要件のもとに死亡したものとみなす制度です。
    不在者の生死不明状態が7年以上続いている場合、失踪宣告を家庭裁判所に申し立てることができます。失踪宣告によって法律上死亡したものとみなされる結果、相続が開始します。この場合、不在者に子がいればその子が相続人となり、今回の遺産分割協議に参加することになります。

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Q. 2-3 相続人に未成年者がいる場合でも、成年者と同様にその者が相続の手続書類に署名・押印をすることは出来るのでしょうか?

A.相続人の中に未成年者がいる場合、法定代理人がその子に代わって相続手続の書類に署名・押印することになります。法定代理人とは、原則は親権者です。未成年者が養子であるときは、養親が親権者となります。また、父母が離婚している場合は、離婚時に定めた父母のどちらかが親権者になります。
遺産分割協議をする場合に、当該法定代理人が、子と同じ相続人である場合には、法定代理人はその未成年者を代理することができません。その場合、子のために家庭裁判所に特別代理人の選任を申立てる必要があります。
家庭裁判所で選任された特別代理人が未成年者を代理して、家庭裁判所で選任された特別代理人が未成年者を代理して、他の相続人と遺産分割協議をして相続手続を完了します。特別代理人は「未成年者1人に対して特別代理人1人」を選任しなければならないので、未成年者が複数人いるときは未成年者の人数だけ特別代理人が必要です。特別代理人の候補者は、相続人以外の成人であれば特に制限はありませんが、身内で適当な人がいない場合は、法律に詳しい弁護士や司法書士などの専門家を候補者として選任を申し立てることもできます。

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Q. 2-4 相続人の中に海外に住んでいる人がいるのですが・・・

A.海外に在住している相続人は、住民票と印鑑証明書に代わる書類として、現地の在外日本公館(大使館・領事館)で、在留証明書とサイン(及び拇印)証明書を取得する必要があります。
通常、遺産分割を行う際には、遺産分割協議書に相続人全員の署名と、実印での押印が必要となりますが、諸外国では印鑑登録の制度がないのでこのような書面で代用します。相続に必要な書面を現地の在外日本公館に持参し、係官の前でサインをすることでこれらの証明書は発行されます。
在留証明書についても、サイン証明書と同様に、現地の在外日本公館で発行してもらうことになりますので、同時に申請すると良いでしょう。

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Q. 2-5 相続人の中に認知症を患っている者がいるのですが、遺産分割協議はできますか?

A.認知症・知的障害・精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。成年後見制度とは、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人(もしくは保佐人、補助人)が、本人に代わって財産管理や、契約などの法律行為を行うことで、本人を支援・保護する制度です。遺産分割協議は法律行為となりますから、この場合は選任された後見人等が本人の代わりに、遺産分割協議を行うことになります。

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Q.2-6 内縁の妻は相続人になりますか?

A.内縁の妻は相続人とはなりません。ただし他に相続人がいない場合、家庭裁判所に申立することにより、特別縁故者として財産の一部を取得できる可能性は有ります。最終的には裁判所の判断になるのですが、内縁の妻に確実に相続財産を残したい場合は、遺言書を残されることをお勧めします。

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Q.2-7 父親が亡くなったので戸籍を取り寄せたところ、生前に認知している子どもがいたことが判明しました。その子どもにも相続権があるのでしょうか。

A.非嫡出子(婚姻関係にない男女間に生まれた子のことを言います)は認知されているか否かで相続人になるかどうかが決まります。お父様が生前に認知している、またはお父様の死後3年以内に子供からの認知請求が認められれば相続人となります。認知の事実は戸籍に記載されるため、その子供は相続人になります。なお、非嫡出子の法定相続分は嫡出子と同じです。

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Q.2-8 姉が亡くなり、姉の預貯金600万円を相続することになりました。姉は結婚しておらず両親も既に亡くなっているので、兄弟である私と、父と後妻の間の子である弟の2人が相続するのですが、等分に分けなければならないのでしょうか。

A.父母の一方のみが同じ兄弟(弟様)の場合、父母双方が同じ兄弟(ご相談者)の相続分の2分の1が法定相続分となります。 被相続人の預貯金600万円を法定相続分の割合で分配するのであれば、相談者が400万円、弟様が200万円となります。

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3.相続財産に関するもの

Q.3-1 相続財産には、負債や借金も含まれるのですか?

A.相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(負債・借金)も含まれます。 相続人はプラスの財産のみを選択して相続することはできず、マイナスの財産も引き継がなければなりません。
マイナスの財産を引き継ぎたくない場合には、相続をしないという(相続放棄又は限定承認)申し立てを家庭裁判所にする必要があります。申立は、相続を知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。
相続放棄とは、相続自体を放棄する手続です。相続放棄した者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったことになるので、資産も債務も一切引き継ぎません。
限定承認とは、「プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない」という場合に、マイナスの財産についてはプラスの財産の限度内で支払うということを条件に相続することです。限定承認をした場合には、マイナスの財産を弁済した後、プラスの財産が残っていれば、相続人はこれを相続することができす。※相続人が全員で手続きをする必要があるので、一人でも反対者がいると限定承認はできません。

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Q.3-2 保険金は相続財産ですか?

A.生命保険を取得するのは、保険契約における「受取人」としての資格に基づいて受領するものですから相続財産ではありません。よって、遺産分割の対象にもなりません。また、相続放棄したとしても生命保険を受け取る権利はあります。
しかし、生命保険金があまりにも高額である場合は、相続人間で不公平をもたらすことになるため「特別受益」として各人の相続分を計算するときに考慮すべきという考え方もあります。「特別受益」にあたるとした場合の持戻し額が保険金のうちどこまで持戻しの対象にするかについては、諸説があります。なお、相続税法上は、生命保険金も傷害保険金もともに「みなし相続財産」とされ、相続税の対象となる点には、注意が必要です。

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Q.3-3 公務員の夫が亡くなりました。子どもがいないため、相続人は私と夫の兄です。死亡退職金として1,000万円が支給されると聞きましたが、相続財産として夫の兄にも分配しないといけないでしょうか。

A.退職金が相続財産となるかは、まず退職金の規定で、受給権者がどのように定められているのかが、判断基準のひとつになります。公務員の場合、国家公務員退職手当法という法律で、受給権者は遺族と定められ、受給権者の範囲及び順位が詳しく定められています。公務員の死亡退職金は、公務員の収入で生活していた遺族の生活を保障する意味合いが強いため、相続財産ではなく、遺族の固有財産と考えることができます。今回のケースでは、妻であるご相談者が、自身の固有財産として公務員の夫の死亡退職金を受取ることができ、夫の兄に分配する必要はありません。ただしこの場合でも、生命保険金と同じく、相続税法上は、「みなし相続財産」とされ、相続税の対象となります。

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Q.3-4 母が亡くなりましたが、私は生前、母から家の購入のため300万円ほど援助してもらいました。この場合、遺産分割の際に私の相続分は減らされてしまうのですか?

A.相続人の中に、被相続人から特別の利益を受けていた者がいる場合に、これを単純に法定相続分どおりに分けると、相続人間に不公平が生じます。これを是正しようとするのが、特別受益の制度です。これは、その相続人が遺産分割にあたって受けるべき財産額の前渡しを受けていたものとして、その贈与の価額を計算上相続財産に加算します。そして、その加算した額を基礎として各人の具体的相続分を計算します。つまり、被相続人から生前贈与を受けている相続人は、特別受益者として、遺産分割の際、その者に相続財産の前渡しがあったものとして、特別受益者の相続分が計算上減らされることになります。
ただし、相続人間でその特別受益分を考慮せずに遺産分割協議をすることももちろん可能です。他の相続人がその生前贈与分を含めて遺産分割を求めているときは、やはりその分は考慮して遺産分割することになるでしょう。

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Q.3-5 相続人がいない場合、遺産はどうなるのでしょうか?

A.相続人がいない場合、または相続人全員が相続放棄をした結果、相続人がいないという状況になった場合、そのような状態を法律上「相続人の不存在」といいます。
相続人の不存在の場合、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。その後、相続人の不存在が確定し、特別縁故者に対する相続財産の分与などがなされても相続財産が残る場合には、相続財産管理人の報酬を差し引いたうえで、最終的には国庫に帰属することになります。

特別縁故者への財産分与
相続人が不存在で、遺言書などもない場合、何もしなければ相続財産は国庫に帰属してしまいます。例えば、なくなった方を生前世話していた内縁の妻や事実上の養子は、相続人ではないので財産をもらう権利は法律上ありません。そこで、特別縁故者への財産分与という制度が存在します。
特別縁故者と認められるのは、①被相続人と生計を同じくしていた者、②被相続人の療養看護に努めた者、③その他被相続人と特別の縁故があった者とされています。
特別縁故者への財産分与は、特別縁故者から家庭裁判所に申し立てることになります。
特別の縁故関係があって被相続人のために貢献したとしても、申立てがないと、相続財産の分与は一切されません。分与するかしないか、またどの程度の分与かについては家庭裁判所の裁量により決定します。

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Q.3-6 父の相続に関し、長男とわたくし二男が相続人です。父の債務については長男が全て引き継ぐという遺産分割協議をしたいのですが。

A.判例上、被相続人の負債につき、相続人が数人あるときは金銭債務その他可分債務は法律上当然に分割され、各相続人がその法定相続分に応じこれを引き継ぐものとされています。

長男が父の負債を全て引き継ぐという遺産分割協議が成立したとします。この協議内容は長男と二男の間では有効なのですが、債権者は各相続人に対してその法定相続分に応じた債務の履行を請求することができます。これは、債務は全て長男が引き継ぐという遺産分割協議をしておきながら、長男に債務を弁済する資力がなかった場合、債権者が不利益を被ることになってしまうためであり、このような遺産分割協議は債権者の同意なくしては認められません。

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Q.3-7 不動産と預貯金を、兄弟4人で相続しました。このうち預貯金については協議が整ったのですが、不動産については折り合いがつきません。現金が必要なので協議が整ったものだけでも先にいただきたいのですが、一部だけの手続も出来るのでしょうか?

A.相続人は遺産をどのように分割するかの権限を持っているので、遺産の一部の分割も当然認められています。

 したがって「協議の整った分だけをまずは分配する」ということも当然出来ます。この場合残りの遺産については、後日協議することとなります。

 しかし、現実には不動産は現物を相続分で分割するわけにはいかないので、不動産を単独で取得する代わりに、預金はその他の相続人で分割する等の協議がなされるのですが、預金等を先に払い戻すとこのような分割が出来なくなり、残った財産の分割が困難になるといった事態が生じる恐れがあるのでお勧めはしません。

 やむをえず遺産の一部のみについて分割する際には、「払い戻し等の手続」の為、また「後日の紛争を防ぐ」為にも協議の整った部分について遺産分割協議書を作成しておくことをおすすめします。

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Q.3-8 被相続人である父から住宅資金として金300万円の生前贈与を受けました。生前贈与を受けた金額は、必ず私の相続分から差し引かれますか?

A.相続人が被相続人から生前に贈与を受けた財産のことを「特別受益」といいます。ご質問者のおっしゃるとおり、基本的に、相続人が受けた「特別受益」は、相続分から差し引いて計算されます。
 但し、これには例外があります。例えば、被相続人であるお父様が生前に「長女Aに援助した住宅資金は、特別受益として相続分より差し引かなくてよい。」など、「特別受益の持戻し免除の意思表示」をしていれば、特別受益に該当する財産も相続分から差し引かないで計算することができます。この意思表示は特別の方式は不要なので、「黙示」(暗黙のうちに意思考えを表すこと。)でも、「明示」(はっきり示すこと。)の意思表示でもよいとされています。
 しかしながら、「特別受益の持戻しの免除」が問題となる事例の多くが、「黙示」の持戻免除の意思表示を認めることができるかどうかの争いであるのが現状です。何故ならば、「黙示」の意思表示の効力は、贈与の金額や、贈与に至る具体的理由、被相続人と贈与を受ける相続人の社会的地位、収入、資産の具体的内容等から、相続人にそれだけの利益を確保するだけの理由があるか否かを他の共同相続人の状況と比較して慎重に判断されることとなるため、なかなか認められにくいからです。判断基準となる状況の例としては(1)共同相続人各人に対する同額程度の贈与 (2) 身体的ないし精神的障害のある子への贈与 (3) 寄与や貢献に報いるための贈与など です。
 よって、相続争いを未然に防止するためには、遺言書に「 第●条 遺言者は、これまでに子供たちにした生前贈与による特別受益の持ち戻しについては全て免除する。」など「特別受益の持戻し免除の意思表示」を「明示」しておくことがベストでしょう。

 また、他の相続人の遺留分(本来であれば、被相続人が自由に指定できる相続人ごとの相続分に法的に制限を加え、これだけは絶対相続できる割合として法律によって保証された最低限の相続分のこと。)を上回る持戻しの免除は、当然に無効となるわけではございませんが、遺留分減殺請求(遺留分の取り戻し請求)をされた際は、「特別受益の持戻しの免除」の効力は消失し、その相続人の遺留分に相当する遺産をその相続人に分配しなければならなくなるため注意が必要です。

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4.相続放棄に関するもの

Q.4-1 私は一人娘なのですが、先日、父が他界しました。遺産を調べたところ多額の借金のみが残ることがわかり、相続の放棄をしようと思っています。注意すべき点を教えてください。

A.最も注意すべき点は、お父様の相続財産である預金を引き出したり、財産を売ったり、借金を支払ったりすると、相続したとみなされ、相続放棄ができなくなる場合があるということです。次に注意が必要な点は、相続放棄には法定された期間があるということです。
基本的には、お父様の亡くなった時から3カ月以内であれば、相続放棄が可能です。

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Q.4-2 父が亡くなりました。父の唯一の財産は自宅で、あとはローンなどの借入のみです。相続人間で話し合った結果、私は全ての相続を放棄することにしましたが、遺産分割協議書に記載して、実印を押せばいいですか。

A.遺産分割協議では「相続放棄」はできません。相続放棄をするには、相続を知ってから3ヶ月以内に、被相続人の住所を管轄する家庭裁判所へ、「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。家庭裁判所で申立を行うことによって、借入を含む全ての相続を放棄したことになります。相続放棄の申立後、家庭裁判所に「相続放棄申述受理証明書」を請求しておき、債権者からの督促が来た場合、証明書を提示できるようにしておいたほうが良いでしょう。

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Q.4-3 自分が所有している財産のすべてを妻にすべて遺したいと思っています。遠方で暮らす子どもに相談したところ了承してくれましたが、不安が残るので、子どもには今のうちに相続放棄をしてもらいたいのですが、どうすればよいでしょうか。

A.相続放棄手続は、ご相談者(被相続人)がご健在の間はすることができません。
相続放棄は、相続が開始してはじめて、家庭裁判所で申し立てができるようになります。
ただし、相続放棄と似ている手続で「遺留分の放棄」というものがあります。遺留分とは、相続人に最低限残さなければならない財産であり、たとえ遺言に「妻に全てを相続させる」と記載しても、相続人である子どもはこの遺留分を主張して、最低限の財産を相続することができることになります。遺留分の放棄は、被相続人がご健在の場合でも、家庭裁判所に申し立てることで放棄することができます。今回のケースの場合は、ご相談者が奥様に全ての財産を残す内容の遺言をしておき、お子様に家庭裁判所で遺留分の放棄を申し立ててもらうとよいでしょう。

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Q.4-4 夫が急死しました。5年前に新築の自宅を購入したばかりです。住宅購入の資金繰りは、夫に任せておりましたので住宅ローンについて全く知識がありませんが、後20年ほどの住宅ローンが残っていることだけはわかります。しかし、この先、私一人の収入では、とうてい払っていけそうにありません。かといって、売却してもローンの残が残りそうです。相続放棄したほうが良いのでしょうか?

A.住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に加入している場合があります。ご主人様が、この保険に加入していれば保険金でローン残額が支払われますので、相続人である奥様も、残りのローンを支払う義務がなくなります。
  もし、ご主人様が団体信用生命保険加入していらっしゃらない場合は、そのローンに保証人がいるか否かが重要になります。 住宅ローンでは家族が連帯保証人になることが多いので、もし相続人のうちのどなたかが連帯保証人になっている場合、その方が相続放棄をしてもローン残額を払う義務があります。
  上記のように、住宅ローンには色々なケースがございますので、相続放棄をするかどうかは、住宅ローンを組んだ際の契約内容、ローン残額と不動産の実勢価格などを良くお考えになった上でお決めください。

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Q.4-5 長く疎遠だった父が他界し、一人っ子の私が相続することになりました。財産の方が多いのか、借入の方が多いのか微妙ですが、相続放棄をしたほうがいいですか。

A.限定承認という方法があります。限定承認とは、プラスの財産の限度でマイナスの財産を引き継ぐという条件付の相続方法です。例えば、1000万円のプラス財産と900万のマイナス財産があることが分かった場合は、どちらの財産も相続しますが、900万円のプラス財産と1000万円のマイナス財産があることが分かった場合、マイナス財産がプラス財産を超えているので、プラス財産を超えるマイナス財産100万円は、返済をする義務がなくなります。限定承認は、相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、財産目録を作成した上で、相続人全員で、家庭裁判所に申し立てる必要がありますが、財産が多いのか、借入が多いのか微妙な場合は、有効な手段となります。

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Q.4-6 父が半年ほど前に他界しました。父は生前、友人の連帯保証人になっていたようで、最近になり債権者から請求が来ました。死亡から時間がたっていますが、今から相続放棄することは可能でしょうか?

A.裁判所の判断しだいでは可能ということになります。

 民法上、相続放棄は自己に相続があったことを知ってから、3ヶ月以内にしなければならないことになっています。しかしこの規定を厳格に適用すると、知らずに多額の負債を相続してしまう恐れがあり、相続人にとって酷な結果となります。

 そこで裁判所は、相続の放棄が出来る3ヶ月の期間の開始する時点を
「相当な理由がある場合」には「相続人が、相続財産の全部または一部の存在を認識したとき、又は認識することが出来たときから」とする判例を出し、この判例によって、過剰な相続債務の存在を知らなかった相続人の救済が行われています。

 では「相当な理由」とは、どんな場合でしょうか?
判例では「被相続人と相続人が疎遠である」場合や、「相続財産が全くないと誤信し、誤信した事に正当な理由がある」場合等が挙げられておりました。

 今回の事例ですと、「連帯保証人になっていたことを知らず、知らなかった事に正当な理由がある」等の主張が、「相当な理由である」と裁判所が判断すれば、請求が来てから3ヶ月以内であれば放棄ができるということになります。

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5.遺言に関するもの

Q.5-1 子ども達のために、遺言を残したいと思っています。いつ書けばよいのでしょうか。

A.遺言は残したいと思っていても、タイミングがわからない、変更ができないのでは、と実際に手を付けられない方が多いようです。しかし、突然思いもよらない災難がふりかかってくるかもしれませんし、健康状態が急速に悪化し、判断能力が落ちることも考えられます。ご家族のために、元気な間に早めに準備をしておくほうが、ご自身にとっても安心だといえるでしょう。また遺言は、何度でも、変更すること、付け加えることが可能ですので、できるだけ早いうちに残しておかれることをお勧めします。

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Q.5-2 自分で遺言書を書きたいのですが、注意点はありますか。

A. 普通方式の遺言(一般的な遺言)として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の遺言状の作成方法があります。その中でも、手軽に作成できる自筆証書遺言をお考えになる方は多いかと思います。 しかし、自筆証書遺言を簡単に書けるかというと、民法で定められた規定を全て満たさなければ無効となるため注意が必要です。 まず、パソコンやワープロでの作成は無効です。署名のみならず全文を自筆で書く必要があります。次に、日付は「○年○月吉日」などではなく、「○年○月○日」というようにはっきりと書きます。また、押印の無い遺言書は無効です。認印や指印でも構いませんが、実印で押印することをおすすめします。その場合、印鑑証明書も併せておくと良いでしょう。また、加筆や訂正にも厳格なルールがあり、遺言者がその場所を指定し、変更した旨を付記してこれに署名、さらにその変更場所に押印しなければなりません。 せっかく書いた遺言書も方式の不備で無効とされてしまうケースが多く、遺言書に記載した内容が不明確で真意が争われることもよくあります。そのために、自筆証書遺言を作成するためには細心の注意が必要です。 公正証書遺言を残しておく方が安心といえますが、ご相談者様のご希望に沿って最良の方法で遺言書を遺せるようお手伝いさせていただきますので、ぜひご相談ください。

こちらのページに各方式のメリット・デメリットなどをまとめています。

詳しくはこちら

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Q.5-3 遺言書にはどんなことを書けるのでしょうか? また、「付言事項」について教えてください。

A. 遺言書を作成する場合、通常、「妻に土地を相続させる」 又は「すべての財産を長男、次男で均等に分ける」等の相続財産に関するものをお考えになるかと思います。


民法では、遺言でなしうる事項を以下のように定めています。

(1) 相続に関すること

推定相続人の廃除 又は廃除の取消し
相続分の指定又は指定の委託
遺産分割方法の指定又は指定の委託
特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言
特別受益の持戻し免除
遺産分割の禁止、遺贈の減殺方法の指定など

(2) 相続財産の処分に関すること

遺贈
財団法人の設立(寄付行為)
信託の設定

(3) 身分に関すること

子の認知
未成年後見人、未成年後見監督人の指定

(4)遺言の執行に関すること

遺言執行者の指定又は指定の委託
遺言執行者の職務内容の指定

(5)その他

祭祀承継者の指定
遺言の取消
生命保険金の受取人の指定・変更

これらは、遺言事項といい、法律上遺言としての効力が認められているものです。
もっとも、遺言書にはこれ以外のことを記載してもかまいません。たとえ法的に効力を持たなくても、相続人らに別に伝えたい言葉を書き加えることができます。
これを「付言事項」といいます。
付言事項は、法律上相続人らを拘束する効力は認められませんが、遺言者の最後の意思を書き綴ったものですから、その内容は尊重される場合が多いです。
特に遺言書を書いた趣旨や家族が仲良く暮らしていくことを切に希望することなどが、遺言者の生の言葉でつづられていたような場合、それらの思いが相続人にも伝わり、遺言の内容を巡っての争いを防止する効果は大きいです。

  例  「妻○○へ  長年連れ添ってくれて有り難う。感謝の気持ちを込めて自宅不動産と株券を相続させます。子供たちには少なくて悪いが預金と現金を相続させます。これからも家族仲良く暮らして欲しい。」

また、お墓や法要の希望なども付言事項として残しておくことが出来ます。

付言事項には、法律上の効果はありません。しかし、残されたご家族に対して最後のメッセージとして、是非活用していただきたいと思います。

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Q.5-4 父が亡くなり、父親が自筆で書いた遺言書が出てきました。まず、何から始めればよいのでしょうか?

A.遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、遺言の検認の請求をしなければなりません。
検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
預金の払戻しや不動産の名義変更など、相続の手続をするには、まずこの検認の手続きをする必要があります。
遺言書を提出せず、または家庭裁判所以外で封のある遺言書を開封した場合、過料に処せられることがありますのでご注意下さい。

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Q.5-5 先日父が亡くなりました。生前父が遺言書を残していると言っていたのですが、父の自宅を探しても遺言書は見つかりません。遺言書を見つける方法はありますか?

A.亡くなった方の遺品整理をしても遺言書が見つからない場合、公証役場で遺言を残している可能性があります。公正証書で遺言を行った場合は、平成元年以降の遺言であれば、公証役場でコンピュータ管理をしており、遺言をした人の名前・生年月日をもとに、遺言があるかどうかを検索することができます。相続人であれば、相続人であることを証明する戸籍などを持参することで、全国どこの公証役場でも調べることが可能です。相談者様が公証役場に行って遺言検索をすることが難しい場合、当センターで代わりにお手続を行うことも可能です。自筆で遺言を行っていた場合は、どこかに預けていないか、被相続人の知人や親戚に確認をする等、とにかく探すという手段しかありません。自筆で遺言を残す場合は、見つからないこともありますので、公正証書遺言で残しておくことをお勧めします。

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Q.5-6 将来のために遺言書を作成する予定ですが、子ども達の仲が悪く、遺言書どおりに財産が分けられるか心配です。何か方法はありますか。

A.遺言書に遺言執行者を定める方法があります。遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するための必要な事務手続きを行う者です。遺言書に不動産の分割の方法や第三者への遺贈が記載されていた場合、遺言執行者が相続人に代わって、不動産の登記手続きや、第三者に財産を渡す手続を行うのです。遺言書で遺言執行者を定めた場合、相続人は、遺言執行者を無視して相続財産を処分することができなくなりますので、遺言書の内容がスムーズに実行されやすいのです。ただし、遺言書で遺言執行者に選ばれた者は、実際に相続が始まってから、遺言執行者に就任するのかしないのかを決めるため、確実に遺言執行者として手続を行ってもらえる人を選ぶ必要があります。また、未成年者や破産者は遺言執行者となることはできません。そういった点からも、相続を主に取り扱っている司法書士など専門家を遺言執行者として選んでおくことを、お勧めします。

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Q.5-7 遺言書の撤回はできますか?

A.遺言書の撤回は、生前であればいつでも遺言の全部又は一部を撤回することができます。
これは、遺言書を作成した後に、遺言者の生活状況が変化したり、心境の変化することがあり得るため、遺言者はいつでも自由に遺言書の内容を変更又は取り消したりすることができるということが、法律で定められているからです。
遺言書の撤回は比較的に簡単にできます。自筆証書遺言の場合には、遺言書を破棄すれば、遺言を撤回したことになります。また、「前の遺言を撤回する」旨の新たな遺言書を作成しても、前に作成された遺言は撤回されます。公正証書遺言の場合には、遺言者が持っている公正証書遺言を破棄しても、原本が公証役場に保管されているため、遺言を撤回したことにはなりません。公正証書遺言を撤回するには、新たな遺言を作成して、前の遺言を撤回する必要がありますが、公正証書遺言の作成時に弁護士や司法書士に依頼して作成した場合は、作成を頼んだ専門家に遺言内容を変更したい旨を連絡すればよいでしょう。後に心情が変わるかもしれないから・・・と遺言書の作成に躊躇されていらっしゃる場合でも、自由に変更・撤回ができるため、安心して遺言書を作成して下さい。

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Q. 5-8 相続をさせたくない相続人がいます。相続させないようにする手段はありますか?

A.相続人となるべき者に、被相続人に対する虐待、侮辱、非行等がある場合、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所の調停や審判手続により、その者の相続権を剥奪することができます。これを相続人の廃除といいます。
廃除が認められた例としては、長男が父の金を無断で消費し、多額の代金の支払いを父に負担させ、これを注意した父に対して暴力をふるった事例 (岡山家審平2.8.10)などがありますが、廃除が認められるかどうかは家庭裁判所の判断によります。
廃除の方法は、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てる方法と、遺言による方法との二つが認められています。遺言による方法の場合、相続が開始してその 遺言が効力を生じた後、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をすることになります。
被相続人は、何時でも、廃除の取消を家庭裁判所に請求することができます。遺言でも廃除の取消を請求することができ、遺言による場合には、遺言執行者が 家庭裁判所に廃除取消の請求をしなければなりません。廃除の取消がなされると、廃除の効果は相続開始時にさかのぼって消滅し、相続権が回復することになります。

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6.税金に関するもの

Q.6-1 どのような場合に相続税の申告は必要ですか?

A.相続財産が基礎控除額の範囲内であれば相続税は課税されず、税務署へ申告する必要もありません。基礎控除額は下記計算式によって算出されます。
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)(注)
(例:法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円)
(注)法定相続人の数に含める養子の数は、一定数に制限されています。被相続人に実の子どもがいる場合一人までです。被相続人に実の子どもがいない場合二人までです。

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Q.6-2 相続税の基礎控除額が変わると聞いたのですが・・・

A.平成23年相続税改正案で基礎控除額が6割【基礎控除額 = 3600万円 +( 600万円 × 法定相続人の数)】に縮小される予定でしたが、延期されています。近い将来、相続税が引き上げられることは避けられない見通しです。
→平成27年(2015年)1月に税制が改正され、基礎控除額 = 3000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数)となりました。

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Q.6-3 相続税はどれくらいかかるのですか?

A.以下の条件で具体的な相続税の計算を行ってみましょう。
例)相続財産が2億円、相続人が妻と子2人、遺産分割内容は妻が2分の1、子が4分の1ずつとした場合。

遺産総額の算出

相続・遺贈等で取得した財産 + みなし相続財産 - 非課税財産

②相続税課税価格の算出

上記遺産総額+ 相続開始前3年以内の贈与財産 - 債務 - 葬式費用

③基礎控除額の算出

3,000万+(600万円×3人)=4,800万円
※課税価格が4,800万円以下なら、相続税は課税されず申告も不要。

④基礎控除額を控除して
課税遺産総額の算出

2億円-8,000万円=1億2,000万円

⑤課税遺産総額を法定相続分で按分する

妻6,000万円

子A 3,000万円

子B (同左)

⑥ ⑤に相続税の税率をかける

6,000万円×30%
=1,800万円

3,000万円×15%
=450万円

同左

控除額を引く

1,800万円-700万円
=1,100万円

450万円-50万円
=400万円

同左

⑧ ⑦を合計して相続税総額の計算

1,100万円+400万円+400万円=1,900万円

実際の相続割合で按分

1,900万円×1/2
=950万円

1,900万円×1/4
=475万円

同左

税額控除分を引いた各人の税額

950万円 → 0円
(※配偶者控除)

475万円

同左

※配偶者控除 : 配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円までか、1億6,000万円を超えていても、正味の遺産額の法定相続分に応ずる金額までであれば、配偶者には相続税はかかりません。

相続税速算表


法定相続分に対する取得金額

税率

控除額


1,000万円以下

10%


1,000万円超~3,000万円以下

15%

50万円


3,000万円超~5,000万円以下

20%

200万円


5,000万円超~1億円以下

30%

700万円


1億円超~2億円以下

40%

1,700万円


2億円超~3億円以下

45%

2,700万円


3億円超~6億円以下

50%

4,200万円


6億円超

55%

7,200万円


上記は一例であり、各種控除があります。相続税の計算は複雑で、相続財産が基礎控除額を超える場合は相続税額が0円の場合でも申告が必要になってきます。一度当センターの税理士にご相談ください。

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Q.6-4 相続時精算課税制度とは

A.相続時精算課税制度とは、親の財産を生前贈与により取得する場合に、相続時に精算することを条件に、納める贈与税が軽減される制度のことです。贈与を受ける子は、この相続時精算課税か、従来からある暦年課税のどちらかを選択することができます。暦年課税制度では、贈与税と相続税を別々に計算し、税金を納めていましたが、親の資産をスムーズに子の世代に移すため、相続税と贈与税の一体化を図ったのが、相続時精算課税制度です。

 

相続時精算課税制度

暦年課税制度

贈与税の計算方法

(贈与額-2,500万円)×20%
※税率は20%固定

(贈与額-110万円)×累進税率
※累進税率は10~55%の8段階

適用条件

60歳以上の親から20歳以上の子孫への贈与
※例外あり

制限なし

相続税との関係

相続税の計算時に贈与税は精算される。
※精算時の贈与財産の評価は贈与時の時価

相続税とは切り離して計算
(ただし相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に加算)

贈与税の納税

特別控除2,500万円を超えた贈与時ごとに納税し、相続時に精算

歴年(1月1日~12月31日)単位で計算し納税

制度間の移行

相続時精算課税制度を選択した後で従来の贈与(暦年課税)への移行は不可能

従来の贈与(暦年課税)から、相続時精算課税制度への移行は可能

・贈与税の計算方法
相続時精算課税制度には特別控除があり、一人の贈与者である親又は祖父母等からの贈与が2,500万円まで(住宅資金の贈与であれば3,500万円まで)は贈与税が課税されず、2,500万円を超えた部分につき一律20%の贈与税が課税されます。 一方従来の暦年課税制度では、年間贈与額から基礎控除額110万円を引いた課税価格に応じて10%~55%の累進税率で課税されます。

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7.その他

Q.7-1 相続登記はいつまでにしなければならないのでしょうか?

A.相続登記については、いつまでに、という期限はありません。何年か経ってから登記をするということも理論上は問題ありません。
しかし、時が経つにつれ、相続人の心境に変化が生じたり、相続人のうちの誰かが亡くなった場合など、手続きがより複雑になってしまうこともあります。相続人間で話し合いがまとまっているのなら、なるべく早く手続を済ませておくことをおすすめします。

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Q.7-2 相続財産である不動産の売却や管理についての相談は可能ですか?

A.不動産は自宅、収益ビル、収益マンションなど様々な用途がございます。
特に収益物件の相続は、借入金の返済義務や今後の管理、修繕義務なども引き継ぐことなり、トータルで考えていかなくてはなりません。当センター提携の不動産の専門家と共に様々なご提案を致します。

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Q.7-3 父が住んでいた自宅の売却を考えています。お手伝いいただけますか?

A.不動産は相続における代表的な財産です。相続不動産の売却は、一般的な売却活動と異なりデリケートな問題が多く、他の相続手続きと同時に進める必要があります。誤った認識で売却を急ぐ結果、相続人間でトラブルを引き起こすケースが非常に多いようです。当センターでは相続に関する豊富な経験と知識を備えた、提携宅建業者のご紹介が可能です。ご安心してお任せください。
また、遺品の整理や残財処分などもご相談ください。

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Q.7-4 相続した土地の売却を検討していますが隣地(道路、お隣さん)との境界がどこか分かりません。このような場合はどのような手続きをしてお隣との境界を決めればいいのですか?

A.土地を売却するには土地の境界を明確にする必要があります。
土地の境界をめぐりお隣同士が仲違いし、裁判しているケースも少なくありません。
このようなトラブルを解消するには土地境界確定測量を行なう必要があります。
土地境界確定測量はお隣の人の土地との境界を決める(確定)するために行ないます。
現在、「土地家屋調査士」が土地の境界の専門家として認識されています。
土地境界確定測量の手続きのおよその流れと期間は下記のとおりです。

-手続きの流れ

(1)資料調査・現地事前調査

法務局・市町村役場にて当該地の過去の図面等の資料調査を行ないます。
また、現地において当該地に境界標(コンクリート杭等)の有無の調査を行ないます。

(2)測量・計算

現地において当該地の現況平面測量を行ないます。
現況平面測量のデータと過去の資料を基に境界の位置を計算します。

(3)立会い

計算して導き出した境界の位置を隣接地の土地所有者や国、県、市など役所と立会いを行い協議します。
その結果、全ての隣接地の土地所有者の了解を得て、境界を決めます。

(4)境界標の設置

境界標を設置します。
境界標はコンクリート杭や金属プレート、金属鋲などがありセメントなどを使い動かないように固定します。

(5)道路等(官民境界指令書)と筆界確認書の取得

境界が決まると隣接地の土地の所有者が国、県、市町村などの役所の場合は、書類を提出して官民境界指令書を受け取ります。その他の場合は筆界確認書を2部作成し、当該地の所有者と隣接地の所有者がそれぞれ1部を持ち合います。

(6)土地登記申請

-期間
事件によって異なりますが最低1ヶ月以上はかかります。

ほとんどの事件は約2~3ヶ月で終わります。

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Q.7-5 父が建てた住宅を相続しましたが、その建物は建築して今まで登記されていません。このような場合、私名義に直接登記することは出来るのでしょうか?

A. あなたの名義で直接建物表題登記をすることが出来ます。


建物表題登記とは、登記簿の表題部に建物の所在、使用目的、構造や面積、新築年月日、所有者などの情報を登録する手続きです。

通常、建物表題登記に必要な書類は下記のとおりです。
① 建物を建築した所有者の「住民票」
② 建築確認書、検査済証
③ 工事施工者と取り交わした請負契約書
④ 工事施工者から工事完成時に引き渡しを工事完了引渡証明書
⑤ 建物図面

そして、相続人が直接表題登記をする場合は下記の書類が追加で必要になります。

① 相続人の「住民票」
② 父親と相続関係が分かる戸籍謄本等の相続証明書一式
※ 他に相続人がいるときは、「遺産分割協議書」や「遺言書」などで相続人が当該建物を取得できる旨が分かるものが必要です。

相続した未登記建物を相続人名義で直接建物表題登記をする場合、ほとんどのケースがかなり以前に建築されたものばかりであり、上記の書類が見当たらない場合が多く見受けられます。そのような場合、固定資産税の課税状況等で所有者であることを証明して表題登記を申請することになります。

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Q.7-6 回復も見込みの無い病気のため末期状態に陥った場合に、延命措置を行わないでもらいたい旨を遺したいのですが、方法はありますか。

A.「尊厳死宣言公正証書」という方法で実現できます。尊厳死宣言公正証書とは、公証人の前で、本人が自らの考えで尊厳死を望み、延命措置を差し控え、中止してもらいたいという考えであることを宣言し、公証人がこの事実を公正証書として記録するものです。
近年、遺言とは別に、尊厳死宣言公正証書を作成する方が増えています。

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Q.7-7 先日兄が亡くなりました。兄には妻や子どもがいないため、兄弟である私と姉、弟の3人が相続人です。実は姉・弟とは以前から非常に折り合いが悪く、遺産相続ももめそうです。亡くなった兄とは親しかったため、兄が借りていた自宅や貸金庫の整理をしてあげようと思うのですが、他の相続人にあらぬ疑いをかけられそうで、遺品整理ができないでいます。何か良い方法はありませんか。

A.亡くなった方の自宅や貸金庫など遺品の確認・整理は、将来の争いを防ぐためにも、相続人全員で行うのが良いでしょう。ただ、相続人が遠方にお住まいだったり、忙しく時間が取れない場合や、ご相談者のように折り合いが悪く全員で確認することができない場合もあります。その場合は、「事実実験公正証書」を作成することをおすすめします。事実実験公正証書とは、例えば貸金庫を開けて中身を確認したい場合、公証人にも立ち会ってもらい、公証人が実際に 内容・状況を確認して作成した公正証書のことです。第三者である公証人が立ち会い、公正証書として文書に残しておくことで、万が一相続財産で争いが起こり裁判になった場合でも、証拠としての効果が期待できます。また、公正証書は公証役場でも保管されるため、紛失した場合でも安心です。

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Q.7-8 認知症になった時に備えて、財産の管理や生活面の手配など決めておくことはできますか?

A.認知症になると、自分の財産の管理ができなくなったり、病院の治療方針を決められなくなったりします。こういった状況になる前に、あらかじめ財産管理を任せる人などを決めておくことができるのが「任意後見契約」です。任意後見契約をすることで、自分の信頼できる人を後見人として、預貯金の管理、公共料金の支払などの財産管理、入院の手続や介護サービスとの契約などの介護や生活面の手配を、自身の代わりに引受けてもらうことができます。後見人は、成人であることが必要ですが、一人だけではなく、複数人選ぶことも可能ですし、弁護士・司法書士などの専門家や、社会福祉法人などの法人に後見人になってもらうことも可能です。また任意後見は契約ですので、上記の基本的な後見人の仕事ほか、法律の趣旨に反しない範囲であれば、本人・後見人がお互い同意することで、自由に内容を決めることができます。なお、任意後見契約は、本人の意思、後見人になる人の意思を確認する意味でも、公正証書でおこなわなければなりません。

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