相続の基礎知識

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8-4 贈与税と相続税の関係

 

※贈与税(ハ)・(ニ)と、相続税の関係について、8-1の表(相続税の計算の流れ)を用いてご説明致します。

贈与税とは、財産を持っている方が、ご自身の意思で現金や不動産等の財産を贈与したときに、その財産をもらった方に対して課される税金です。

贈与税は、相続税に比べて基礎控除額が低く、かつ税率が高く設定されています。これは、相続税を逃れるために過度な生前贈与をされないようにするためのものです。

このように贈与税は、相続税の補完的役割を果たすものと位置づけることができます。

また、一方、生前贈与を有効に活用することにより、相続税の節税をはかることも可能ですので、両者の関係は深いものといえます。

なお、贈与財産(ハ)のうち、下の表に掲げる特例の適用を受けて贈与された財産については、相続開始前3年以内の贈与であっても相続財産に含める必要がありませんので、相続税の節税として有効な生前贈与となる可能性があります。

贈与税に係る特例制度

1.贈与税の配偶者控除

制度の概要 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための 金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円の他に最高2,000万円まで控除できると

いう特例です。換言すれば、最高2,000万円までが無税で贈与できるということです。

適用要件 (1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。 (2)配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること、又は居住用不動産を取得するための金銭であること。

(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与により取得した国内の居住用不動産、又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が住んでおり、 その後も引き続き住む見込であること。

(4)贈与税の申告を行うこと

 
2.住宅取得資金贈与の非課税制度

制度の概要 父母や祖父母等の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その住宅取得等資金により自分の居住用の一定の家屋の新築若しくは取得、又は一定の増改築をし、その家屋に同日までに居住する場合又は遅滞なく居住することが確実であると見込まれる場合には、住宅取得等資金のうち一定金額まで贈与税が非課税となります。
非課税限度額 次の区分によります

  省エネルギー・耐震性を備えた良質な住宅家屋 その他の住宅家屋
平成24年 1,500万円 1,000万円
平成25年 1,200万円 700万円
平成26年 1,000万円 500万円

※適用対象となる住宅用家屋の床面積は240㎡まで。(東日本大震災の被災者の場合は面積制限はありません。)

受贈者の要件 以下の全ての要件を満たすことが必要となります。 
(1)贈与時に日本国内に住所を有すること 
(住所を有していない場合は、日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を
有したことがある場合には可)  
(2)贈与時に贈与者の直系卑属であること  
(3)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること  
(4)贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること  
一定の家屋の新築・取得、一定の増改築 新築、中古取得、増改築等の状況に応じてそれぞれ要件がありますので事前に税務署にて確認されることをお勧め致します。